気ままにダイアリー
土方さんの絵をきわめたいです。でも時間がない。ボロッ
15 February (Mon)
でも書きたいネタがあるのでそれだけ投下。あと自分の明日のためにキーワード
語りたかったはなし:ヒロインと能力と幽白とわんぴいす
続きからキッド。ひたすらもやもやしたおんなのこと、キッドのおはなし。何て言うか、ただの吐き溜めみたいなとこ\(^O^)/ うざいおんなのこがいます。学パロ。
帰っていく友だちにばいばい、と笑顔で手を振る。暫くすれば友だちはもちろんみんな帰って行くし、馬鹿騒ぎをしていたクラスメイトたちもやがて教室を出て行った。教室はしんとした静寂に包まれ、締め切られた窓からは隙間風すら入ってこない。音を立てるのは呼吸音のみとなった。自分のそれとそして、隣の席で寝ているユースタス・キッド。……さん。くん? の、寝息。
彼とは仲がいいとか悪いとかじゃなくて、この怖い顔とかごつい体系とか、男っていうよりも悪がきっていうか、とにかくごつくて厳つい彼が苦手だった。何か悪さをされたわけでもいやな噂を聞いたわけでもないけれど、大きい方ではない自分が彼に殴られたところなんて、想像しただけでも恐ろしいからだ。
「……ふう、」
ひとつ息を吐いた。空気がどんよりと淀む。
自分がきらいで仕方がなかった。こんな風にひとりでぐるぐると思い悩むことしか出来ない、自分が。普段のあの楽観的な自分はいったい何処に行ったんだろう。きっと相談を聞いてくれてる友だちもうんざりしているに違いない。
分かっては、いるのだ。自分の中でだって、ある程度の答えは出ている。しかし、あとはそれを実行に移すか否かであって、それをするだけの勇気と決断力があたしには欠けている。それだけの話だ。
「……帰ろ。」
小さくぽつりと呟いて立ち上がった。暫くひとりになりたかったのだが、ひとりになったところで何も変わらないことに気付いたあたしは鞄を取った。ちらりと隣人を一瞥したけれど、別段変わった様子もなく寝ていたので、起こすべきかな、と一瞬だけ考えたけど、結局声もかけずに一歩踏み出した。
はずが。
「アレ、」
ぐいぐい、歩いても引っ張っても鞄が動かない。椅子に引っ掛けたのだろうか、まったく、鈍いのかとろいのか、さらに溜息は重くなって口を吐いた。そして振り返って息を呑んだ。
「……っ!」
「声くらいかけたって罰は当たらねえだろ。」
「お、起きてっ、」
「馬鹿、寝てたっつーの。」
「だ、だよね。」
目をきっと釣りあがらせた隣人(何て呼ぼう、ユースタス君?)はくあ、とひとつ欠伸を噛み殺した代わりに大きく伸びをして見せた。そして此方を見る。またびくりと反応したあたしに何か言うでもなく、ユースタス君は射殺さんばかりの視線でこっちを見ていた。おたおたとしていると、見兼ねたのか苛々したのか、彼が低く「鞄置けよお前」と一言。ハッとして急いでまた机に鞄を置いてから、はたと気付く。いや、なんで? 帰りたいんだけど。しかし、そんなことを言えるはずもないわけで。
「さっさと座れよ。」
「え、な、なんで……?」
「早くしろ。」
「は、はい。」
椅子を引けば、ギィ、と鈍い音がひとつ。眉尻を下げて首を傾げる。なんなんだろう、何か話でも……それともいやなお話だろうか。り、リンチとかカツアゲとか……あああ早く帰れば良かった!
「お前、」そんなことを考えていると彼が口を開いた。「悩み事でもあんのか。」あたしはゆるりと顔を上げた。逆立てた赤い髪の下に、相変わらず鋭く光った両眼がある。しかし、不思議と今は怖いと感じなかった。彼はそっぽを向くと、くしゃりとその赤い髪に手を通した。顰めたような表情は、今すぐにでも舌打ちをして机を蹴っ飛ばして帰りそうな色にも見えるが、その反面、照れているようにも見受けられた。
「……、」
「あんだろ。言ってみろよ。」
そんなこと言われても。困ったような顔をして俯けば、ユースタス君も押し黙った。「つっても、ンな簡単にゃ言えねーか。」小さく言うので、顔を上げるわけにも行かずそのままどうしようか考えていたら、視界の端で彼が立ち上がった。見上げれば、長身のユースタス君が一歩近付いてきていた。
「……え、」
「ま、いいけどよ。あんまり悩みすぎてっとハゲんぞ。」
「え、ゆ、ユースタスく――」
「テメェの人生だ。誰にも文句言わせねえようにすりゃいいだろ。」
「う、うん。」
「笑ったやつには制裁をくわえときゃいい。」
「(……制裁)……うん。」
くしゃり。くしゃくしゃくしゃ。ユースタス君のでっかい手が、頭を撫でる。後ろの長い髪までが前に下りてきたせいで、視界が奪われ、丁度ユースタス君の表情は見えなかった。だけど、最後にぽんぽん、としてくれた彼の手からは優しさのみが感じられて、じゃあなって言って去ってくその背中に、少しだけほんわかとした気持ちを抱いたのだ。
(……明日、ありがとうって言おう。)
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